Google Maps Platform は、15 年以上にわたり、2D 地図、高解像度の衛星画像、歩行者視点のストリートビューを表示できるサービスとして発展してまいりました。このたび、最先端の AI とコンピュータ ビジョンを活用してこうした要素すべてを統合した没入型体験機能をリリースいたします。これまで Google は、基盤となる地理空間テクノロジーの向上に努めてまいりました。その結果、現実の体験を再現した、利用時のコンテキストに沿ったデジタルの視覚体験に対するユーザーの期待も、日に日に高まっています。このたび、Google I/O 2023 にて、3D 画像、地図のカスタマイズ、ルート案内のための新しいプロダクトと機能を発表しました。こうしたプロダクトや機能により、デベロッパーは、ユーザーの期待する体験を構築できるようになります。
Aerial View API と Photorealistic 3D Tiles を使用して没入型体験を構築する
このたびリリースする 2 つの新プロダクトでは、Google Earth で使用されているのと同じ 3D 地図のソースを使用できます。このため、従来の地図の枠組みを超えた没入型体験をユーザーに提供できるようになります。
Aerial View API は、現在プレビュー版としてご利用いただけます。
Aerial View では、簡単な API 呼び出しにより、特定の場所、ランドマーク、スポットからのパノラマ動画を使用することができます。Aerial View を使用すると、空中から撮影した画像を通して、エンドユーザーに特定の地域の様子(水域、学校、主要道路など)を簡単に素早く伝えることができます。動画のレンダリング、ホスティング、配信は、Google がバックエンドで YouTube のインフラストラクチャを介して行います。米国の住所に対しては、5 月 11 日より、空中から撮影した高解像度の動画をリクエストすることができます(他の地域にも近日対応予定)。Aerial View の詳しい説明は、こちらのブログをご覧ください。
Photorealistic 3D Tiles の試験運用版がリリース
新しい地理データ プロダクトである Photorealistic 3D Tiles は、現実世界をモデル化して直接アプリに取り込める、高度にカスタマイズされた 3D ビジュアリゼーション エクスぺリンスの作成を支援するもので、Map Tiles API を通じて利用可能です。高精細 3D 画像を使って、ユーザーの現在位置周辺のの情報を調べたり見て回ったりできるようにする、または空間にまつわる諸問題を仮想的に解決することができます。より直感的な方法で地理情報を伝えることで、ブランドを差別化し 3D 画像でユーザーを楽しますことができるほか、決断を下す前にユーザーが場所について離れたところにいても調べられるようにすることができます。詳しくは、こちらのブログをご覧ください。
Photorealistic 3D Tiles によるビル、名所、地形
Aerial View と Photorealistic 3D Tiles は、どちらも没入型体験の構築を支援するものですが、ユースケースに基づいてどちらがご自身のプロジェクトに適しているかをすぐに判断できます。空中から撮影した画像を使って特定の場所の動画を迅速に作るためのすぐに使える API が必要なケースでは、Aerial View が適しています。あらゆる角度(歩行者の目線、任意の高さからの眺め、上空から下方に移動していく、など)から見たより広い区域(街区、近隣地域、市、州など)の、高度にカスタマイズされたインタラクティブな 3D ビジュアリゼーションを開発する場合は、Photorealistic 3D Tiles が適しています。
よりカスタマイズされたマップやルートを構築
地理空間アプリケーションをきめ細かくカスタマイズし、より状況に即した情報を表示できるようにするため、マップやルートの高度なカスタマイズに関するいくつかの新機能と、カスタムマップの構築を高速化する再利用可能なウェブ コンポーネントをリリースします。
データドリブンな新しいスタイル設定機能が、データを活用したマップのカスタマイズを可能に
Maps JavaScript API のデータセットで利用できるデータドリブン型スタイル設定機能のプレビュー リリース版を利用することで、地理空間データをマップ上の地点、ライン、ポリゴンとして可視化し、スタイル設定できます。また、マップの Dataset API を利用すると、Google Cloud コンソールにおける地理空間データのインポート、保存、管理をサーバーサイドで行えます。
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シアトルの緑地がマップ上の場所として表示され、実際の場所における緑地の密度をわかりやすく示している |
さらに、行政界情報などの境界線のデータドリブンなスタイル設定機能が、Maps JavaScript API で一般に利用可能になりました。データドリブンなスタイル設定機能により、行政界を表す Google のポリゴンを簡単に表示できるようになります。また、Google の行政界を使用してお客様独自の表形式ビジネスデータを強化し、ポリゴンのスタイル設定や、多彩でカスタマイズされた階級区分図の作成ができるようになります。
カスタマイズされたユーザー エクスペリエンスを高度なマーカーで実現(一般提供中)
Maps JavaScript API の高度なマーカーを利用すると、カスタマイズ性の高い高性能なマーカーを作成できます。この機能を活用することで、マーカーとして自社のブランドをアピールすることもでき、開発時間を短縮できます。
マップのカスタマイズに関する更新について詳しくは、お知らせのブログをご覧ください。
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エルトン ジョンの L.A. マップアプリでは、彼のお気に入りの場所にちなんだアイコンを高度なマーカーで表示し、ファンが実際の場所で体験できることを視覚的に示している |
Routes API を使用して状況に応じて的確なルートを柔軟に提示(一般提供中)
Routes API を使用すると、高度な機能により、ルートをより的確かつ柔軟に提示できます。また、到着予定時刻の予測精度も高まります。新機能には、二輪車(オートバイ)向けのルート案内、通行料金データの表示、ルートの各区間におけるリアルタイムの交通情報の提供、環境に優しいルート選択(プレビュー版)などがあります。Routes API は、Directions API と Distance Matrix API の基本機能に基づいて構築されています。たとえば、リアルタイムの交通量を包括的に反映する最新のルート選択や、出発地と目的地を組み合わせた距離行列から計算される距離や到着予定時刻などです。詳しくは、こちらのブログをご覧ください。
ウェブ コンポーネントがプレビュー版で利用可能に
このたび、再利用可能なウェブ コンポーネントが利用可能になりました。これにより、開発者は高品質な地図をより迅速かつ簡単に構築できます。一般的な W3C 標準で構築することで、開発者はマップや高度なマーカーのウェブ コンポーネントを利用し、Maps JavaScript API にある既存のマップ機能を再利用できます。さらに、より大規模なウェブ コンポーネントのオープンソースの Extended Component Library を GitHub や npm にてリリースしています。詳しくは、こちらのブログ投稿をご覧ください。
新しいプロダクトや機能の詳細については、没入型体験や高度な地図のカスタマイズに関する Google I/O テクニカル セッションをご覧ください。皆様が構築されるサービスを楽しみにしております。
Google Maps Platform に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。ご質問やフィードバックはページ右上の「お問い合わせ」より承っております。