この記事はシニア プロダクト マネージャー、Stevan Silva による Google for Developer の記事 " Create world-scale augmented reality experiences in minutes with Google’s Geospatial Creator " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
ARCore Geospatial API (英語) の対象範囲は、昨年の 87 か国から 100 か国以上に拡大しています。これは、Google の Visual Positioning System (英語) とストリートビュー対象範囲の拡大によって実現したものであり、デベロッパーが位置情報に基づいた革新的で安定した没入型エクスペリエンスを開発して公開することに貢献しています。私たちは、ARCore Geospatial API Challenge (英語) に提出された革新的なハッカソン作品の場合であっても、Gorillaz との連携の場合であっても、便利なアプリケーションやワールドスケールの楽しくて新しいユースケースを公開するために限界を押し広げ続けています。Gorillaz との連携においては、タイムズ スクエアとピカデリー サーカス (英語) を音楽ステージに変えて、圧倒的な迫力の演奏を届けました。
昨年を通して寄せられ続けた声の 1 つは、この強力なリソースにアクセスできる人を増やし、世界中の誰もが拡張現実エクスペリエンスを作成し、視覚化し、デプロイできるようにしてほしいというものです。
今回リリースした Geospatial Creator は、現実世界に紐付いた没入型コンテンツを、誰もがわずか数分で視覚化し、デザインし、公開できるようにするツールです。多くの方に親しまれている Unity や Adobe Aero というおなじみのプラットフォームから直接操作することができます。
Geospatial Creator は、ARCore と Google Maps Platform の Photorealistic 3D Tiles (英語) を利用しています。デベロッパーやクリエイターは Geospatial Creator を使って、デジタル コンテンツを配置したい現実世界の場所を簡単に視覚化できます。これは、Google Earth や Google ストリートビューの表示方法に似ています。Geospatial Creator には新機能も含まれています。たとえば、制作プロセスでデベロッパーやクリエイターの時間と労力を削減するため、3D タイルに表示するバーチャル コンテンツを場所にさらに簡単に紐付けられるようにする屋根用アンカーが挙げられます。
こういったツールを活用して、現実世界に紐付いたクロスプラットフォーム エクスペリエンスを構築することができます。サポートされるデバイスには、Android と iOS の両方が含まれます。Adobe Aero で構築した没入型エクスペリエンスは、QR コードのスキャンやリンクで簡単に共有できます。完全なアプリをダウンロードする必要はありません。Geospatial Creator で作成したものは、すべて物理世界で体験でき、リアルタイムでローカライズされて現実世界が拡張されます。
デジタル コンテンツで物理世界を拡張すると、ユーザーが遊んだり、ショッピングしたり、学んだり、制作したり、情報を得たりする方法が変わります。このツールで何ができるかを知っていただくため、Gap、Mattel、Global Street Art、シンガポール観光局、Gensler、TAITO といったゲームや小売り、近隣スポット紹介などのパートナーと連携して、現実世界のユースケースを開発しています。
今年の夏には、あの有名なアーケード ゲームを現実世界で実際にプレイできるようになります。オリジナル版の登場から 45 周年を記念して、TAITO が「SPACE INVADERS: World Defense」をリリースします。このゲームには、ARCore と Geospatial Creator が使われています。そばにいるスペース インベーダーから地球を守るというオリジナル版のゲームプレイを引き継ぎながら、AR と 3D ゲームプレイを組み合わせて、現実世界と連動した魅力的な没入型エクスペリエンスを提供するので、複数世代のプレーヤーをつなぐことができます。
Gap と Mattel は、Adobe Aero の Geospatial Creator を使い、有名な Gap タイムズ スクエア店をインタラクティブな Gap×Barbie エクスペリエンスに変えます。5 月 23 日より、さまざまな色や形で装飾されたストアを見ることができるようになり、新しい限定版の Gap×Barbie コレクションの衣装をモデルとした Barbie やその友達たちとのインタラクションも可能になります。
Google Arts & Culture は、Global Street Art と連携して (英語) 、世界的に有名な 3 名のアーティストとともに、ロンドン(Camille Walala)、メキシコシティ(Edgar Saner)、ロサンゼルス(Tristan Eaton)にある実物の壁画を拡張します。アーティストたちは Adobe Aero の Geospatial Creator を使ってバーチャル体験を作成し、AR によって実物の壁画をデジタルで拡張することで、アート作品にまつわる深く豊かなストーリーを伝えます。
Google のパートナー イノベーション チームは、シンガポール観光局と連携して、VisitSingapore アプリにシンガポール没入型ガイドツアーのプレビュー版をリリースしました。シンガポール旅行のマスコットである Merli が、シンガポールの名所や秘密スポットを巡るインタラクティブな拡張ツアーに連れて行ってくれます。このツアーでは、有名なマーライオン公園を訪れたり、Victoria Theatre and Concert Hall で AR 交響楽団の演奏を楽しんだりすることもできます。完全版のガイドツアーはこの夏にリリースされます。地域最高のホーカーフードを見つけたり、過去のシーンから都市の歴史を学んだりするのに役立つことでしょう。
Gensler は Adobe Aero の Geospatial Creator を使って、家を持たない人々がコミュニティの新しい都市計画を簡単に想像できるようにしています。住宅計画のデザインを没入型にすることで、都市の変更案とその社会的な影響を誰でも細かく思い描けるようになり、最終的に必要な人に適切な住処を提供できるようになります。
Geospatial Creator を使えば、ワールドスケールの AR エクスペリエンスを誰でも遠隔で作成できます。Photorealistic 3D Tiles が利用できる国が対象であれば、デベロッパーもクリエイターも、数分で没入型エクスペリエンスを作成して公開できます。数回のクリックだけで、コミュニティをサポートし、ユーザーを楽しませ、ビジネスにソリューションを提供するアプリケーションを作成できます。goo.gle/geospatialcreator で、さっそく今日から始めてみましょう。皆さんは、世界をキャンバス、ゲームの舞台、ギャラリーにして何を作るのでしょうか?それを見るのを楽しみにしています。
Reviewed by Mari Kawanishi - Developer Marketing Manager, Google Play
Google Maps Platform の最新機能を解説する特別イベントを開催します。今回は、小売・流通業向け、旅行業向けと業界固有のトピックも交えた内容となっています。取り上げるトピックは以下のとおりです。
Google Maps Platform をこれから本格的に活用しようとされている方、また、すでに活用しており、さらに用途を広げることをご検討されている方はぜひご参加ください。皆様のご質問やご相談にエキスパートが直接対応いたします。
こちらのリンクからお申し込みください(期限 : 5 月 19 日(金))。
日程 : 2023 年 5 月 29 日(月) 15:00 より / 受付開始 14:30
定員 : 100 名
参加費 : 無料(事前登録制)
会場 : グーグル合同会社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 3 丁目 21 − 3 渋谷ストリーム
プログラム :
■小売・流通業における Google Maps Platform 活用のヒント - 概要編 -
小売・流通業における地理空間サービスの活用状況やインサイトを、関連する最新の調査データに言及しながら、Google Maps Platform がどのように本業界においてお役立て頂いているかのユースケースと事例をご紹介します。また、活用のヒントという観点で、Google I/O 2023 で言及される今後の新機能やアップデートについてもご案内する予定です。
■小売・流通業における Google Maps Platform 活用のヒント - 詳細・実装編 -
小売・流通業において、Google Maps Platform の最新の API や SDK を活用し、UI/UX を改善する実装方法・デモをご紹介します。すでに Google Maps Platform をご利用頂いているお客様にもご参考にして頂けるアイデアをご案内いたしますので、現在の利用状況を問わずぜひご参加ください。
こちらのリンクからお申し込みください(期限 : 5 月 22 日(月))
日程 : 2023 年 5 月 31 日(水) 15:00 より / 受付開始 14:30
定員 : 80 名
■旅行業界における Google Maps Platform 活用のヒント - 概要編 -
旅行業界における地理空間サービスの活用状況やインサイトを、関連する最新の調査データに言及しながら、Google Maps Platform がどのように本業界においてお役立て頂いているかのユースケースと事例をご紹介します。また、活用のヒントという観点で、Google I/O 2023 で言及される今後の新機能やアップデートについてもご案内する予定です。
■旅行業界における Google Maps Platform 活用のヒント - 詳細・実装編 -
旅行業界において、Google Maps Platform の最新の API や SDK を活用し、UI/UX を改善する実装方法・デモをご紹介します。すでに Google Maps Platform をご利用頂いているお客様にもご参考にして頂けるアイデアをご案内いたしますので、現在の利用状況を問わずぜひご参加ください。
※ 定員になり次第お申し込みを締め切りとさせていただきます。
※ 競合他社様からのお申し込みはお断りさせていただくことがございます。
※ ビジネス向けのイベントとなっております。学生の方のご参加はご遠慮ください。
※ 報道関係者のご参加はお断りさせていただきます。
皆様のご参加をお待ちしております。
Google Maps Platform に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。ご質問やフィードバックはページ右上の「お問い合わせ」より承っております。
WebAssembly は、ウェブの新しいデベロッパー機能の作成方法を根本的に変革します。ブラウザの相互運用性を維持するため、新しいウェブ機能は厳格な標準化プロセスを経て、クロスブラウザで実装される必要があります。数十年にわたる大規模な取り組みにより、ブラウザの機能は驚くべきレベルに達していますが、この過程には時間がかかる場合があり、すべての機能をウェブに組み込まなければならないわけでもありません。これまで何年もかけて、高レベルの機能の構成要素となる低レベル機能に注力してきましたが、現在私たちは新たな夜明けを目にしており、劇的に速いペースでさまざまな機能が登場しています。
WebAssembly
WebAssembly は、他の言語からコンパイルしたポータブルなバイトコード形式であり、最大のパフォーマンスを実現できます。デベロッパーが WebAssembly を活用すると、別のプラットフォームのライブラリや機能をウェブに移植できます。再実装は一切必要なく、高いパフォーマンスを発揮します。さらに、並列実行スレッド や Single Instruction Multiple Data(SIMD)など、CPU のパフォーマンスを最大限に活用できる高度な計算プリミティブも提供します。
ポータビリティと高パフォーマンス CPU アクセスを実現する WebAssembly が加わったことで、ウェブには低レベルの構成要素がすべてそろい、実に多様な新機能を構築できるようになりました。これらはすべて、数々の充実した機能やレンダリング手法などを備えた、ウェブ プラットフォーム全体という驚異的な土台のうえに成り立っています。
WebAssembly のおかげで実現できた新機能はたくさんありますが、1 つのブログ投稿を丸ごと使ってその一部を紹介しています。
その中には、さまざまな理由で標準プロセスを通過できなかった機能も含まれています。また、現在標準化が進行中で、さまざまなブラウザで実装が進められているものもあります。
標準化と承認を経なくても機能を公開できるので、イテレーション サイクルが年単位から日単位、場合によっては時間単位にまで短縮できます。オリジン トライアルなどのアプローチを使えば、多くの試験運用を行うことはできますが、それでも週単位や月単位のイテレーションが必要になります。イテレーションの速度を変えるということは、その対象自体を抜本的に変革するということです。
機械学習などの分野は進展が速いので、標準ベースのアプローチではついていくことができません。設計が標準化を経てクロスブラウザ実装に移ったころには、すでに新たな進展があり、プロセス全体をやり直さなければならなくなってしまいます。
とは言うものの、標準化が不可欠なことも多い点は変わりません(後述のデメリットのセクションを参照)。標準化が適している場合は、当然標準化を試みる必要があります。
wasm はさまざまなブラウザでサポートされているので、これを使って構築した機能もすべてのブラウザですぐに動作します。機能の相互運用性とクロスブラウザ実装は、デベロッパーにとって最大の悩みです。機能を低レベルプリミティブに移行することで、この懸念の大半を解消できます。
この機能は厳格なセキュリティ サンドボックスがベースになっているため、ネイティブ実装された API よりも格段にセキュリティが向上します。たとえば、Flash がウェブから削除された大きな理由は、複雑なプラグインのセキュリティを十分に強化するのが難しすぎたためです。しかし、今は Flash を WebAssembly で実行でき、セキュリティの懸念の大半が解消されています。
複雑な問題に対するあらゆる新しいソリューションと同じく、WebAssembly にもデメリットや制限がないわけではありません。その中には、仕組み的に避けられないものもあれば、有望なソリューションが存在するものもあります。
WebAssembly は JavaScript の代替ではなく、JavaScript が時代遅れになるわけでもありません。どちらかというと、WebAssembly は JavaScript の機能を拡張するものです。
ユーザーランドに移動するロジックや機能が増えることで、ページのサイズも増大します。バンドルサイズの縮小は優れたユーザー エクスペリエンスにとって最重要なので、これは大きな問題になります。そのため、この機能を使ってバンドルサイズを肥大化させる前に、慎重に検討する必要があります。この点は、小さな e コマースやブログのサイトよりも、大型のウェブアプリで問題になる可能性があります。JavaScript を多用するフレームワークでも、これが長いこと問題になっています。この状況を改善するため、さまざまなソリューションが考えられるかもしれません。
WebAssembly などのプリミティブは、ほとんどが計算メカニズムであり、OS やデバイス自体にシステムのルート権限でアクセスする機能は一切提供されていません。ハードウェア アクセス(USB や Bluetooth)、画面やウインドウの管理、入力コントロール、ファイル システム、クリップボードなどの機能にアクセスする場合は、今後もプラットフォーム レベルの API が必要になります。Chromium の Fugu プロジェクトは、Chromium ベースのブラウザでこれらのすべての事例を実現しようとするものですが、他のブラウザでの実装も必要になります。
WebAssembly は、すでにブラウザの新機能実現に活用されていますが、それ以上に、根本的に新しい方法で機能の開発方法にアプローチします。何かを改善する最善の方法は、その改善方法を改善することです。すると、2 次曲線的な成長を遂げることができます。どのような新しいパラダイムにもメリットとデメリットがあります。しかし、総合的に見れば、WebAssembly は、あらゆるブラウザとデベロッパーにとって新しいアプローチであると言えます。これを使って皆さんとともに開発を進めていくのが楽しみでなりません。
Chrome が誕生したときからの 4 つの基本原則の 1 つがスピードです。これは今でも、私たちの作業を導く中核的な原則であり続けています。最近の技術改善によって、Chrome のパフォーマンスは Speedometer(さまざまなプラットフォームで動作するブラウザ ベンチマーク)で新たなマイルストーンに到達しました。今回の速さと好奇心の投稿では、どのようにしてそれを実現したかについて説明します。
スピードは、ウェブのブラウジング エクスペリエンスを左右する重要な要素です。速ければ速いほど、ブラウジング エクスペリエンスは楽しくなります。Chrome の最新リリースでは、Chrome のエンジン内部まで深く入り込み、キャッシュやメモリ管理の改良などによってスピードと効率を向上させる余地がある場所を探しました。
頻繁に使われる JS `Object.prototype.toString` 関数と `Array.prototype.join` 関数をターゲットに、いくつかの最適化を行えることがわかりました。また、CSS の InterpolableColor をターゲットとした改善も行いました。
JavaScript で DOM をアップデートする際によく使われるのが、`innerHTML` です。そこで、これに特化した高速解析パスを追加しました。うれしい驚きだったのは、この作業の一部は WebKit にも効果がありそうなことです。そのため、この作業は WebKit のエンジンにも搭載する予定です。私たちの目的は常に、すべてのウェブユーザーに優れたウェブ エクスペリエンスを提供することです。この作業が幅広い効果を与えることを期待しています。
ポインタ圧縮は、V8 と Oilpan(DOM オブジェクトのガベージ コレクタ)の両方で使われ、メモリの節約に貢献しています。そこで、ポインタの圧縮と解凍の方法を最適化し、高トラフィックな項目は圧縮しないようにしました。このオペレーションが行われる頻度を考えれば、パフォーマンスへの影響は非常に幅広い範囲におよびます。さらに、JavaScript の `undefined` のような頻繁にアクセスされるオブジェクトをメモリベースの先頭に移動し、より高速なマシンコードを使ってアクセスできるようにしました。
機能とポインタ圧縮効率の改善を合わせると、この 3 か月で Apple の Speedometer 2.1 ブラウザ ベンチマークが 10% 向上しました。
Android 版 Chrome は、常にフットプリントが最小になるように最適化されています。しかし、Android エコシステムは多様で、機能レベルが異なるデバイスが含まれています。ハイエンド デバイスでの Chrome のパフォーマンスを最大限に高めるため、こういったデバイスには、バイナリサイズではなくスピードのためにチューニングしたコンパイラ フラグを使ったバージョンの Chrome を導入します。
このバージョンの Chrome は、対応デバイスで Speedometer 2.1 ベンチマークを 30% 高速に実行できます。