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Android Instant Apps: ダウンロード サイズを制御するためのベストプラクティス
2017年9月5日火曜日
この記事は
Google Play デベロッパー リレーションズ パートナー、Maru Ahues Bouza
による Android Developers Blog の記事 "
Android Instant Apps: Best practices for managing download size
" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android Instant Apps は、ウェブのリンクをタップするだけで高機能なネイティブ アプリを利用できるようにするものです。事前にインストールせずにアプリを利用でき、レベルや質の高いエンゲージメントを実現できます。
しかし、モバイル ウェブページの読み込み時間と同程度の待ち時間を実現するには、構造を整え、サイズを小さくする必要があります。そうすれば、URL をタップした際に短時間でダウンロードして実行できるようになります。この点を考慮し、エントリポイントとなる URL をタップした際に読み込まれるバイナリは、できる限り小さく、4MB 以下にすることをおすすめします。バイナリが小さいほど Instant Apps の読み込みも早くなり、ユーザー エクスペリエンスがスムーズになります。
このドキュメントでは、アプリの構造やバイナリサイズを制御し、スムーズな Instant Apps を提供するためのベスト プラクティスを紹介します。このベスト プラクティスは、インストールするアプリを開発する際にも役に立つでしょう。
コードベースのリファクタリング
バイナリサイズを削減するために一番効果的な方法は、アプリをリファクタリングして
複数の機能モジュール
に分割することです。現在のサイズや機能セットでは複数の機能に分割する必要がない場合でも、そのように設計しておくことをおすすめします。そうすると、将来的に既存の機能のバイナリサイズに影響を与えずに機能を追加できるようになります。さらに、インストール可能なアプリと Instant Apps の両方のバイナリを生成できるように、モジュール式の単一コードベースにすることを強くおすすめします。これによって、プロジェクトやコードを別々に管理する手間が減り、それぞれ整理されたプロジェクト構造になります。早期アクセス パートナーの経験から、ダウンロード時のバイナリサイズにもっとも大きな影響を与えるのはこの点であることがわかっています。ただし、この作業はもっとも手間がかかります。
具体的には、単一の(ベース)モジュールから着手し、関連する部分を機能モジュールに移動させるというコードのリファクタリングを行います。なお、Instant Apps の開発中は、バイナリサイズについて心配することはありません。サイズの制限は、ローカルでビルドするバイナリには適用されません。バイナリは、Play Developers Console から
開発トラック
(開発時に Instant Apps をすばやくデプロイするための特別なトラック)に公開することもできます。この場合、サイズの制限は 10MB です。[
1
,
2
] 4MB の制限は、バイナリが開発トラックを卒業する際に適用されます。
各機能モジュールは、指定された URL に対応するエントリ ポイントであるアクティビティを 1 つ(または複数)持つことができます。単一のコードベースを複数のモジュールに分割する場合、機能ごとに異なるエントリ ポイントを使います。プラットフォームは、必要に応じて関連する機能を読み込みます。なお、任意のエントリ ポイントでダウンロードされるバイナリの合計が 4MB 以下である必要がある点に注意してください。そのため、任意の機能モジュールとベース モジュールを組み合わせたサイズが 4MB 以下でなければなりません。
おすすめは、最初に機能とアクティビティとエントリ ポイントのマッピングを定義し、それから各エントリ ポイントのバイナリサイズを削減するためのリファクタリング作業を構造的に行うことです。
さらに、ライブラリの含め方も検討します。特定の機能モジュールにライブラリが必要になる場合、そのライブラリをベース APK ではなく、機能モジュールのみに追加するようにします。そうすれば、ベース モジュールのサイズを削減できます。たとえば、X、Y、Z という 3 つのライブラリに依存するアプリがあるとします。まず、すべての依存関係をベースの gradle.build ファイルに記載し、すべてのライブラリをベース モジュールに格納しようとするかもしれませんが、機能モジュールのコードがライブラリ Z のみを必要とする場合、その依存関係をベース モジュールから機能モジュールに移す方が妥当です。そうしても、別の機能モジュールが同じライブラリに依存していない限り問題はありません。複数の機能モジュールが同じライブラリを使う場合は、当然ながらベース モジュール内に残しておきます。
lint チェック
多くのアプリは、たくさんのリソースが登録されています。そして、時間が経つにつれて、使われなくなるリソースも出てきます。Android Studio には、使っていないリソースをチェックできる便利な lint チェックが組み込まれています。Alt+Ctrl+Shift+I(Mac OS では Cmd+Option+Shift+I)を押し、「unused resources」と打ち込んで [Unused resources Android | Lint | Performance] インスペクションを開始します。この機能は、インストールが可能な APK のサイズ削減にも役立ちます。
文字列リソース
リソースと同じく、文字列にも注目しましょう。文字列にも、使われていないものがあるかもしれません。通常、不要な文字列リソースを削除すれば、アプリのサイズを大幅に削減できます。アプリが複数言語をサポートする場合、ローカライズされたリソースの数を減らすこともできます。通常、これによってリソース アセットを大幅に削減できます。数か国語しかサポートしていないアプリで AppCompat ライブラリを使っている場合は、特にこれが重要になります。このライブラリには、複数言語のメッセージが含まれています。
resConfig
を使用すると、特定のリソース構成のみを選択できます。ヒント: 通常は、「
auto
」を指定してサードパーティ製ライブラリからプルされる構成を制限し、プロジェクトで定義されている構成セットに一致させるようにします。
WebP への切り替え
PNG イメージの代わりに
WebP
を使うと、
ドローアブル リソースのサイズ
を大幅に削減できる可能性があります。Android Instant Apps は、WebP 形式のすべての機能(透過、ロスレスなど)をサポートしているので、機能が失われることはありません。なお、アプリのランチャー アイコンは PNG 形式でなければいけませんが、普通、これらのファイルはプロジェクトの mipmap- ディレクトリに格納されるため、問題にはなりません。下位互換性のあるソリューションが必要な場合は、オリジナルの PNG イメージを APK モジュールに含める必要があります。その場合、
WebP リソースは自動的に無視されます
(メイン ソースセットは、すべての AAR モジュールや機能モジュールのリソースより優先されます)。[
4
]
もちろん、ベクター ドローアブルを利用すれば、貴重なスペースをさらに節約できるかもしれませんが、それにはコードの変更が必要です。Instant Apps では WebP イメージを使い、インストール可能な APK では PNG イメージを使うという前述の方法には、コードの変更は必要ありません。
アセットのランタイム ダウンロード
最後に、技術的にはすべてのリソースを Instant Apps の APK に格納する必要はない点も覚えておきましょう。アプリは、実行時に追加アセットをダウンロードすることもできます。このアプローチを使うと、必要なアセットのみダウンロードすることもできます。これには、コードベースに大きな変更が必要になる可能性がありますが、インストール可能な APK のサイズを減らすためにも役立ちます。
リソースの削減だけではアプリの機能モジュールのサイズを制限以下にできない場合は、コードのサイズを削減する方法を探る必要があります。
ネイティブ ライブラリのレビュー
サードパーティ製ライブラリには、Instant Apps ではまったく使わないネイティブ コードが含まれているものもあります。そのため、APK のネイティブ ライブラリをレビューする最初の段階として、実際に使われるものだけが格納されているかを確認します。ここでは、
APK Analyzer
([Build] -> [APK Analyzer…])を使ってコンパイル済みの APK を調べてください。[
5
]
外部ライブラリのレビュー
次は、アプリのコードにリンクされているすべての外部ライブラリをレビューします。推移的依存関係のおかげで驚くべきことが起こっていることがわかるかもしれません。推移的依存関係とは、プロジェクト内のライブラリが別のライブラリに依存していることを指します。また、その別のライブラリは、さらに別のライブラリに依存している可能性もあります。このような推移的依存関係によって、まったく必要としないライブラリ(コードではまったく使っていない JSON 処理ライブラリ)が含まれるなど、驚くべきことが起こっている場合があります。詳細は、Gradle ユーザーガイドの「
推移的依存関係の除外
」セクションをご覧ください。
Android Studio には、プロジェクトの外部依存関係を分析する便利なツールがいくつか搭載されています。まずは、[Project] ビューから見るとよいでしょう。
[Project] ビューには [External libraries] というセクションがあり、推移的依存関係を含め、プロジェクトで使用されているすべてのライブラリが表示されています。
ベース機能のサイズをさらに削減するには、コードの依存関係や外部ライブラリに注目する必要があります。[Project] ビューを確認し、使っていないライブラリを探します。そのようなライブラリは、プロジェクトに必要のない推移的依存関係かもしれません。また、同じ機能を提供するライブラリも探します(イメージの読み込みやキャッシュを行う複数のライブラリなど)。[
4
]
APK Analyzer
ツールを使うと、ビルド同士を比較できます。このツールは、Instant App の APK でも利用できます。
最後に、推移的依存関係のリストをレビューし、不要なものを除外します。
gradle -q :MODULE:dependencies --configuration compile
コマンドを使うと、依存関係グラフをレビューできます。詳細は、
Gradle のドキュメント
をご覧ください。
その他のヒント
Android Studio 3.0 には、App Links Assistant ツールが搭載されています。このツールは、必要なインテント フィルタを生成したり、プロジェクトを複数のモジュールに分割する際に役立ちます。[
3
]
Instant Apps バンドルがサイズ制限を下回るようになったら、ビルド処理が最新であることを確認します。アプリのパッケージと Instant Apps の APK が「
APK Signature Scheme v2
」で署名されているかどうかをチェックしてください。最新バージョンの SDK ツールで APK を署名していれば、すべて自動で行われるはずです。ただし、手動でビルド アーティファクトに署名している場合は、jarsigner は使わず、
apksigner
を使う必要があります。
また、アプリのコードを Instant Apps のランタイム環境に対応させる際のおすすめの方法をいくつか紹介しておきましょう。Instant Apps とインストール可能なアプリのコードでは、
InstantApps.isInstantApp(...)
を使って多少の条件分岐を入れることは優れた手法であり、一般的にソースコードが読みにくくなることはありません(もちろん、乱用しなければですが)。また、共有インテントを使用する場合は、端末にインストールされているアプリを明示的に列挙しないようにします。Instant App のセキュリティ モデルは、これを認めていません。その場合は、単に通常の Intent.createChooser() を使って実行できるすべてのアクションのリストをユーザーに提示します。
既存の Android アプリを Instant Apps 化するために必要な作業量はデベロッパーによって異なり、アプリが現在どのように構成されているかに大きく依存します。プロジェクトがすでに複数のモジュールで構成されていれば、簡単に行えるかもしれません。しかし、コードやリソース アセットのサイズを減らす作業を重点的に行わなければならない場合もあるでしょう。ここで説明したツールや Android プラットフォーム機能は、そのために導入されています。
Android Instant Apps を使っているその他のデベロッパーの紹介
最後に、すでに Instant Apps を構築しているデベロッパーによるすばらしい投稿を紹介しましょう。
Buzzfeed
:
Westinghouse から Android Instant Apps へ、BuzzFeed の歩み
realestate.com.au
:
realestate.com.au Android Instant App の構築
WillowTree
:
Android Instant Apps の導入
Jet.com
:
Instant Apps でアプリを高速化
Vimeo
:
Android Instant Apps ステップ バイ ステップ: Vimeo の取り組み
Ticketmaster
:
Ticketmaster が Google I/O で最新 Android Instant Apps テクノロジーのデモを実施
Domain
:
Domain が Instant Apps で Android アプリを高速化
Android Developers ウェブサイトにアクセスし、
Android Instant Apps を使ってみてください
。また、他のデベロッパーによる
アプリ高速化のサクセス ストーリーもご覧ください
。
Reviewed by
Yuichi Araki - Developer Relations Team
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