私たちが直面している身近な課題の 1 つ 1 つは、新しいソリューションを見つけるチャンスでもあります。Google が毎年開催している Solution Challenge コンテストでは、世界の Google Developer Student Clubs(GDSC)コミュニティが Google のテクノロジーを使って実社会の問題を解決することに挑戦しています。
今年の Solution Challenge の参加者は、人の雇用、経済成長、気候変動対策を推進することを目指す国連の 17 の持続可能な開発目標を実現することに取り組みました。
2022 ソリューション チャレンジ受賞者
Global Top 50 の準決勝進出者と、Top 10 の決勝進出者がこちらに発表されました。Demo Day では、決勝進出者が Google と世界中のデベロッパーに向けてプレゼンテーションを行い、その様子が YouTube でライブ中継されました。
Demo Day では、審査員によるプロジェクトの審査や質問を経て、3 組のグランプリ受賞者が選ばれました。こちらから Demo Day イベントのアーカイブ動画をご覧いただけます。
ここでは、10 組の決勝進出者とそのすばらしいソリューションを紹介します。
トップ 10 プロジェクト
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BloodCall - ギリシャ、ヘロコピポ大学(アテネ)
国連の対応する持続可能な目標 : #3: 健康と福祉の促進
BloodCall は誰でも簡単に献血を行えるようにするソリューションで、Android、Firebase、Google Maps SDK を活用しています。この仕組みを構築したのは、Athanasios Bimpas さん、Georgios Kitsakis さん、Stefanos Togias さんです。
「このアイデアは、2 つの気づきに基づいています。1 つ目は、特にギリシャにおいて、献血したい人は非常に多いにもかかわらず、情報が不十分なことです。2 つ目は、多くの人が SNS で自分や家族が献血を必要としていることを発信していることです。そこから、大きなニーズが存在すると考えました」
Blossom - カナダ、ウォータールー大学
国連の対応する持続可能な目標 : #3: 健康と福祉の促進、#4: 公正な教育、#5: ジェンダー平等と女性の能力強化、#10: 不平等の是正
Blossom は月経に関する正確な情報を若い女性に提供する統合ソリューションで、Android、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform を活用しています。この仕組みを構築したのは、Aditi Sandhu さん、Het Patel さん、Mehak Dhaliwal さん、Jinal Rajawat さんです。
「女性生殖器系について家族と話しづらいのは理解しています。そのため、早い時期からそのような会話を始めることができるように、若者向けのアプリを開発したいと思いました。Blossom なら、自分のデバイスで安心して学ぶことができます。自分の体についての知識が増えれば、それだけで自分に自信がもてるようになり、目標 5 のジェンダー平等と女性や女児の能力強化を図ることができるのです」
Gateway - ベトナム、ホア・セン大学
国連の対応する持続可能な目標 : #3: 健康と福祉の促進、#11: 持続可能な都市、#17: パートナーシップ
Gateway は、オープンな COVID-19 デジタル チェックイン システムです。モバイル アプリと連携し、Bluetooth 接続プロトコルで組み込みシステムと通信するオープンソースの IoT ソリューションを通過してチェックインを行います。Angular、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow、プログレッシブ ウェブアプリを使ってユーザーと COVID-19 デジタル チェックイン システムをつないでいます。この仕組みを構築したのは、Cao Nguyen Vo Dang さん、Duy Truong Hoang さん、Khuong Nguyen Dang さん、Nguyễn Mạnh Hùng さんです。
「私たちのコミュニティでは、COVID 関連の技術サポートが十分でなく、未だに問題が起き続けています。ワクチン接種結果の登録は手動(紙)で行わなければなりません。企業やコミュニティにとって、最大の課題は『オフラインに戻る』ことです。混雑している場所では、接触者追跡ソリューションは完全に過負荷状態になっています。オープンソースの自動チェックイン ゲートウェイを作り、より直感的にシステムを使えるようにすることで、混雑を改善したいと考えています」
GetWage - インド、G.H. ライゾニ工科大学(ナーグプル)
国連の対応する持続可能な目標 : #1: 貧困の撲滅、#4: 公正な教育、#8: 人間らしい雇用と経済成長
GetWage は、地方経済で失業や欠員に悩む人々を助けるため、日雇いの仕事を簡単に検索・募集できるツールです。この仕組みは、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow を活用しており、Aaliya Ali さん、Aniket Singh さん、Neenad Sahasrabuddhe さん、Shivam さんが構築しました。
「コロナ禍において、一番大きな打撃を受けたのが日雇い労働者です。ラクナウ(インド北部の都市)のデータから、コロナ前はほとんどの労働者が月に平均約 21 日働いていましたが、ロックダウン後はそれが 9 日に落ち込んだことがわかりました。プネーの町では、月の平均労働日数は 12 日から 2 日まで落ち込みました。このような状況から、雇用者と労働者を繋げたり、労働者の教育を通じて、困っている人々を助けたいと思いました」
Isak - 韓国、順天郷大学校
国連の対応する持続可能な目標 : #3: 健康と福祉の促進、#12: 責任ある消費と生産
Isak は、ジョギングとゴミ拾いを組み合わせることで、ゴミ拾いの効果を高めることを目指すアプリです。この仕組みは、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow を活用しており、Choo Chang Woo さん、Jang Hyeon Wook さん、Jeong Hyeong Lee さん、JeongWoo Han さんが構築しました。
「コロナ禍により家にいる時間が増えたことで、宅配注文が増え、使い捨てのゴミが指数関数的に増加しました。私たちのチームは、ゴミの削減と運動の両方の問題に取り組むことにしました。ジョギングをしながらゴミ拾いをすれば、健康と環境の両方に貢献でき、機能を追加すれば、ユーザーの興味を引いて参加を促すことができると考えました」
SaveONE life - ケニア、タイタ タヴェタ大学
国連の対応する持続可能な目標 : #1: 貧困の撲滅、#2: 飢餓の撲滅、#4: 公正な教育、#10: 不平等の是正
SaveONE life は、生活必需品、食品、衣類、教育関係の品物などを必要としているケニアの孤児院を探し、そこに寄付できるようにする仕組みです。Android、アシスタント / Actions on Google、Firebase、Google Cloud Platform、Google マップを利用しており、David Kinyanjui さん、Nasubo Imelda さん、Wycliff Njenga さんが構築しました。
「キャンパスのそばにある孤児院に行って院長の話を聞いたとき、食品に困っていることを知りました。子どもの学費を含め、十分な食品や水、衣類、教材がなく、栄養失調になっている子どももいます。主な利用目的として考えたのは、キャンパスの周辺にいる人々に、孤児院の場所や寄付の方法とタイミングについてよく知ってもらうことです」
SIGNify - カナダ、トロント大学(ミシサガ)
国連の対応する持続可能な目標 : #10: 不平等の是正、#4: 公正な教育
SIGNify は、すべての人が視覚的に手話を簡単に理解できるようにするインターフェースを提供します。Android、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow を利用しており、Kavya Mehta さん、Milind Vishnoi さん、Mitesh Ghimire さん、Wentao Zhou さんが構築しました。
「世界中の約 7,000 万人の耳が不自由な人が、手話を使ったコミュニケーションを行っています。しかし、手話を理解できる人がいなければ、コミュニケーションに支障をきたします。そのため、耳の不自由な人の 4 人に 1 人が差別を理由に職を離れるという事態になっています。手話を理解できなければ、耳の不自由な人が持つ知識や能力を学ぶ機会を失ってしまいます。手話を学び、職場で耳の不自由な人を雇うことで、権利の平等を推進し、障がいのある人の雇用機会を増やすことができます」
Starvelp - トルコ、イズミル経済大学
国連の対応する持続可能な目標 : #2: 飢餓の撲滅
Starvelp は、食品廃棄と飢餓の問題に取り組みます。Firebase、Flutter、Google Cloud Platform を利用しており、Akash Srivastava さんと Selin Doğa Orhan さんが構築しました。
「現在、非常に多くの人々が栄養不良に陥っています。自分や家族の食料が得られずに苦しんでいる人が多いのは、厳しい経済状況に関係しています。多くの国にたくさんのスラム地域があり、農業に従事するたくさんの人が十分な食料を得ることができずにいます。人々が毎年その影響を受けており、栄養不良により、さまざまな病気にかかっているというニュースを見るのは、大変衝撃的なことです。」
Xtrinsic - ドイツ、アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク工学部
国連の対応する持続可能な目標 : #3: 健康と福祉の促進
Xtrinsic は、メンタルヘルスの研究と治療のためのアプリで、個人の習慣やニーズに合わせて周囲の環境を調整します。このアプリで目指したのは、ウェアラブル デバイスと TensorFlow を活用して日中や夜中のストレスを検出し、乗り切れるように行動を提案することです。Android、アシスタント / Actions on Google、Firebase、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow、WearOS、DialogFlow、Google Health Services を利用しており、Alexander Monneret さん、Chikordili Fabian Okeke さん、Emma Rein さん、Vandysh Kateryna さんが構築しました。
「これを思いついたのは、私たち自身がメンタルヘルスの問題を経験したからです。チームのメンバーのうち 2 人が、最近起こったシリアとウクライナの戦争によって直接的な影響を受けました。そして、私たち全員がパンデミックの際にメンタル ヘルス不調を経験し、その困難を通じて難しい状況を克服し、前向きであり続ける方法を学びました。そのノウハウと Google のテクノロジーがあれば、状況を変え、世界をより良くできると信じています」
Zero-zone - 韓国、淑明女子大学校
国連の対応する持続可能な目標 : #4: 公正な教育、#10: 不平等の是正
Zero-zone は、耳が不自由な人々の積極的なコミュニケーションや、読唇術を練習するサポートを行います。活用しているツールは、Android、アシスタント / Actions on Google、Flutter、Google Cloud Platform、TensorFlow です。この仕組みを構築したのは、DoEun Kim さん、Hwi Min さん、Hyemin Song さん、Hyomin Kim さんです。
「韓国では、耳が不自由な人の約 39% が、特別な学校に通っても読唇術を学ぶのは難しいと感じています。このプロジェクトは、耳の不自由な人がいつでもどこでも読唇術を学び、積極的なコミュニケーションが取れるように、読唇術を上達させることを目指しています。このツールは、会話を実践したい耳の不自由なユーザーに平等な教育の機会を与えます。さらに、耳の不自由な人が積極的なコミュニケーションを取ることで、自信を持てます。」
Solution Challenge に参加したい方や、Google Developer Student Clubs (GDSC)についてもっと知りたいと思った方は、ぜひ下記リンクをご覧ください。