Google ハードウェア ツールチェーン チームは、デベロッパー コミュニティの Open MPW シャトル プログラムへの参加をサポートするため、新しいデベロッパー ポータル developers.google.com/silicon を公開します。このプログラムでは、誰でもオープンソースの集積回路設計を提出でき、無償で製造してもらうことができます。
2020 年 11 月、Skywater Technologies は、Google と連携して
SKY130 プロセスノードのプロセス デザイン キット(PDK)をオープンソース化したことを
発表しました。それ以来、Google のハードウェア ツールチェーン チームは、
オープンチップ開発をすべてのデベロッパーにとって身近なものにする取り組みを続けています。オープンソースの製造可能な PDK にアクセスできることで、カスタム チップデザインに関連する業界や学界の現状が次のように変わります。
- 設計者は NDA や使用制限から開放され、自由にプロジェクトを始めることができる
- 研究者の研究を他の研究者が再現できるようになる
- オープンソース EDA ツールと製造工程を密接に統合できる
私たちは共同で、3,000 名以上が参加する
コミュニティを作り上げました。そこでは、ハードウェア設計者もソフトウェア開発者もそれぞれの方法で等しく貢献し、最先端のオープンチップ設計を進化させることができます。
終焉が迫っているムーアの法則と
指数関数的な成長を遂げているコネクテッド デバイス(IoT)という相反するトレンドの間には、スケーラブルなコンピューティングを実現する持続可能な方法を見つけるという現実的なニーズがあります。小さな場所にトランジスタを詰め込むことにとどまらず、効率の高い専用ハードウェア アクセラレータを目指すことが必要です。それは、実績のあるプロセスノード技術を利用できる
世界の既存工場の能力をこれまで以上に活用することによって実現しなければなりません。この点は、最近のグローバル
チップ サプライ チェーンの苦境や、よく使われる IC のリードタイムが 1 年以上になる場合があることを考えれば明らかです。
多くの場合、IoT アプリケーションのプロトタイプを作成するには、費用、電力、パフォーマンスのバランスを取りつつ、アナログ ブロックとデジタル ロジックを混在した設計を活用しなければなりません。SKY130(
130nm テクノロジー)のような成熟したプロセスノードは、IoT アプリケーションのプロトタイプを作成するための優れた方法です。最新のプロセスノードに比べれば、わずかな価格で、より速い回転率を実現できます。最適な設計に向けて収束するために欠かせない「正しい失敗」を行う際の時間的および経済的コストの削減につながります。
PDK へのオープンなアクセス、
OpenROAD や
OpenLane などのオープンソース ASIC ツールチェーンの最近の進展、そして
XLS などの高レベルな統合ツールチェーンを組み合わせることで、チップ設計の世界でソフトウェア的な開発手法と反復サイクルの高速化を実現することに一歩近づくことができます。
ソフトウェアの開発方法は、無料のオープンソース ライセンス、コミュニティとの連携、高速な反復作業によって大きく変わりました。カスタム アクセラレータの開発の世界にも、同じ革新が間近に迫っていると考えられます。ハードウェア設計者は、車輪の再発明をするのではなく、お互いの成果に基づいて進化しながら競い合っています。
そのような目的に向けて、私たちは
Efabless プラットフォームの一連の Open MPW シャトルを後援し、250 近くのオープンソース プロジェクトが独自チップを製造できるようにしてきました。
各プロジェクトには、設計のベースとなる既定の
ハーネスで、2.92 mm x 3.52 mm の固定ユーザー領域と 38 の I/O ピンが与えられます。テープアウトに向けて提出する前にチップの仕様や動作を確認できるように、必要なテスト インフラストラクチャも提供されます。
これまでのシャトルには、以下のようなさまざまな設計が提出されています。
パートナーの Efabless は、次の MPW-6 シャトルでは 2022 年 6 月 8 日(水)までオープンソース プロジェクトの提出を受け付けることを発表しています。Open MPW シャトルごとに着実に成長しているオープンソース設計のコーパス上、オープンチップ コミュニティが作成するさまざまなプロジェクトを見れる日を楽しみにしています。
今後のシャトルへの参加をサポートするため、着手する際に参考になるさまざまなオープンチップ エコシステムのツールを集めたデベロッパー ポータルを新たに作成しました。忘れずに
ポータルをチェックし、オープンチップへの旅を始めましょう!