今回のリリースでは、タブ スロットリング、オクルージョン トラッキング、Back/Forward Cache によって、Chrome がリソースを把握して管理する方法を改善します。そのため、必要なときに必要なものにすばやくアクセスできるようになります。
タブ スロットリングとオクルージョン トラッキング
どのタブが使用されているかを認識することで、Chrome はコンピュータが作業に使うリソースをより効率的に管理できるようになります。今回は、バックグラウンドのタブが頻繁に CPU を使わないようにし、見えないタブの描画を行わないようにすることで、大幅な改善を実現しました。
バックグラウンドのタブがどのようにシステム リソースを使っているかを調査した結果、バックグラウンドのタブで動作している JavaScript のタイマーが 40% 超を占めていることがわかりました。これによる CPU や電源への影響を減らすことは、ブラウザを効率化するうえで重要です。M87 以降、バックグラウンドのタブで
JavaScript タイマーのウェイクアップを 1 分ごとに 1 回に制限します。社内テストによると、これにより CPU の使用率が最大 5 分の 1 に減り、電池の寿命が最大 1.25 時間延びます。これは、ユーザーにとって重要なバックグラウンド機能(音楽の再生や通知など)を犠牲にすることなく実現します。
次に、Chrome OS と Mac には既に追加されている
オクルージョン トラッキングを Windows にも導入します。これにより、Chrome はどのウィンドウやタブが実際にユーザーに見えているかを知ることができます。Chrome はこの情報を元に、最小化しているタブではなく、利用中のタブのリソースを最適化します。これにより、Chrome のメモリの使用量が減るにもかかわらず、起動は最大 25%、ページ読み込みは 7% 高速になります。
以上のアップデートは M87 と次のリリースである M88 で徐々にロールアウトされます。
Back/Forward Cache(戻る/進むのキャッシュ)
ウェブサイトにアクセスし、リンクをクリックして別のページを開いたとき、見たいページではないことに気づいて戻るボタンを押すというのは、よくある経験ではないでしょうか。モバイル端末では、これがよく起こります。ナビゲーション 5 回のうち 1 回は戻る/進むによるものです。そこで活躍するのが、Back/Forward Cache(戻る/進むのキャッシュ)です。この機能は、ブラウザを最適化し、戻ると進むのナビゲーションを瞬時に行うようにします。Chrome 87 では、 Back/Forward Cache によって、戻る/進むナビゲーションの 20% が高速化します。近い将来には、さらに改善を行い、より多くのデベロッパーを巻き込んだうえで、50% に増やしたいと考えています。これは次のように機能します。
Back/Forward Cache は、Chrome で長く望まれていた機能リクエストです。現在の Chrome 87 で、Android 版 Chrome のユーザーに徐々にロールアウトします。Chrome のマルチプロセス アーキテクチャにどのようにして Back/Forward Cache を追加したのかについて詳しく知りたい方は、
こちらの技術記事をご覧ください。ウェブ デベロッパーの方は、ウェブサイトで Back/Forward Cache を最大限に活用する方法も学ぶことができます。