Android 11: Developer Preview 3
2020年5月7日木曜日
この記事は エンジニアリング部門副社長、Dave Burke による Android Developers Blog の記事 "Android 11: Developer Preview 3" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
皆さんと同じように、私たちのチームも、新たな日常に徐々に慣れつつあります。私たちにとってそれは、リビングルームやキッチン、裏庭や寝室で働くということです。そこで、我が家から皆さんの自宅へ、Android 11 の最新デベロッパー プレビューについてお知らせします。今回のアップデートには、バグの修正やデベロッパーの生産性向上につながる一連の機能が含まれています。
以下では、その一部を紹介します。Android 11 のすべての新機能を詳しく確認したい方は、Android 11 デベロッパー サイトをご覧ください。今回のリリースは、デベロッパーを対象としています。日常的な使用やユーザーの使用を想定したものではありません。そのため、Pixel 2、3、3a、4 端末への手動でのダウンロードと書き込みで利用できます。既に Developer Preview ビルドを実行している方は、近日中に今回のリリースの OTA(無線)アップデートを受け取ります。いつものように、ぜひ感想をお聞かせください。また、これまで有用なフィードバックを共有してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
アプリの終了理由のアップデート - アプリは、クラッシュやシステムによる強制終了、ユーザーのアクションなど、さまざまな理由で終了します。アプリが実行される端末の種類、メモリ構成、ユーザーのシナリオは多種多様なので、アプリが終了した理由とそのときの状況を理解することは重要です。Android 11 では、これを簡単に実現できます。搭載された終了理由 API を使うと、アプリの直近の終了について詳細をリクエストできます。DP3 では、皆さんからの声をもとに API をアップデートしていますので、ご覧ください。まだこの新しい API を確認していない方は、ぜひ試してみたうえでこちらから感想をお寄せください。
GWP-ASan ヒープ解析 - Android 11 では、プラットフォームやアプリに搭載されているセキュリティ的に重要なコンポーネントが、さまざまなツールによって強化されています。DP3 には、GWP-ASan が追加されています。これは、デベロッパーがメモリの安全性に関する問題を検知して修正する際に役立つもう 1 つの方法となります。GWP-ASan は、ヒープメモリのエラーを検知するサンプリング割り当てツールで、オーバーヘッドやパフォーマンスへの影響は最低限にとどめられています。プラットフォームのバイナリやシステムアプリでは、デフォルトで GWP-ASan を実行していますが、今回より、皆さんのアプリでもこれを有効化できるようになります。アプリでネイティブのコードやライブラリを使っている場合は、できる限り早く GWP-ASan を有効化してテストしてみることをお勧めします。詳細については、ドキュメントをご覧ください。
ADB Incremental - 開発時に ADB(Android Debug Bridge)で巨大な APK をインストールすると、非常に時間がかかって生産性に影響が出る可能性があります。特に、Android ゲーム関連のデベロッパーではそれが顕著です。Android 11 の ADB Incremental を利用すると、開発用の PC から大きな APK(2GB 以上)を Android 11 端末にインストールする時間が最大で 10 分の 1 になります。この新しいデベロッパー ツールを使うには、まず新しい APK シグネチャ スキーム v4 形式で APK に署名します。そして、Android 11 Preview SDK に含まれる最新版の ADB コマンドライン ツールで APK をインストールします。この新機能は、 Android ゲーム開発の生産性を上げるために開発しているさまざまな新ツールの 1 つです。なお、DP3 の ADB Incremental は、Pixel 4 / 4XL 端末のみで動作します。これは、端末レベルのファイル システムを変更しなければならないためです。この変更は、Android 11 が搭載されるすべての新端末で行われる予定なので、新しい端末では ADB Incremental がサポートされることになります。詳細については、こちらを参照してください。
ワイヤレス デバッグ - Android 11 では、Wi-Fi 接続で ADB を使うことにより、デバッグ操作が大幅に改善されます。ノートパソコンの USB ポートが限られ、無数の USB ケーブルや接続を管理しなければならない中、Android 11 のワイヤレス デバッグ機能は生産性の向上に貢献します。Android 11 のワイヤレス デバッグは、既存の TCP/IP デバッグ ワークフローとは異なり、ケーブルのセットアップを必要とせず、これまでの接続を記憶します。最新の Wi-Fi 標準のフルスピードを活用することもできます。DP3 では、ペア設定コードによるワークフローを使ってこのデベロッパー機能を始めることができます。今後の Android Studio のリリースには、QR コードのスキャンによるワイヤレス デバッグ操作を組み込む予定ですが、Android 11 DP3 で提供するコマンドライン ツールについて、初期のフィードバックを集めたいと考えています。詳細については、ドキュメントをご覧ください。
Developer Preview 3 で行われているすべての変更点の詳細については、DP3 差分レポートをご覧ください。また、既知の問題点の詳細については、リリースノートをご覧ください。
Platform Stability に到達すると、システムの動作、非 SDK グレーリスト、API が確定します。その時点で、最終的な互換性テストと、完全に互換性のあるアプリ、SDK、ライブラリのリリースをできる限り早く行う計画を立てて、最終版の Android 11 のリリースに備えてください。詳細については、デベロッパー タイムラインをご覧ください。
互換性テストは、Pixel 2、3、3a、4 端末または Android Emulator を使って開始できます。最新ビルドを書き込み、現在の本番アプリをインストールして、ユーザーフローをテストしてください。また、アプリに影響する可能性がある領域について、動作の変更点を確認してください。現時点では、アプリの targetSdkVersion を変更する必要はありません。ただし、アプリのターゲットを新しい API レベルに設定すると多くの変更が適用されるため、作業の評価を行うことをお勧めします。
テストを支援するため、targetSdk の変更の多くは切り替え可能にしています。そのため、それぞれの機能は、開発者向けオプションや ADB から強制的に有効化または無効化できます。詳細はこちらをご覧ください。合わせて、有効化、無効化が可能な制限されている非 SDK インターフェースのグレーリストもご覧ください。
いつものように、皆さんのフィードバックは重要です。引き続き、お気づきの点はぜひお知らせください。早めにお知らせいただければより多くのフィードバックを反映できます。問題を見つけた場合は、こちらから報告をお願いします。
Android 11 についての完全な情報は、Android 11 デベロッパー サイトでご覧いただけます。
Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team
Reviewed by Ryosuke Matsuuchi - Developer Relations Team

皆さんと同じように、私たちのチームも、新たな日常に徐々に慣れつつあります。私たちにとってそれは、リビングルームやキッチン、裏庭や寝室で働くということです。そこで、我が家から皆さんの自宅へ、Android 11 の最新デベロッパー プレビューについてお知らせします。今回のアップデートには、バグの修正やデベロッパーの生産性向上につながる一連の機能が含まれています。
以下では、その一部を紹介します。Android 11 のすべての新機能を詳しく確認したい方は、Android 11 デベロッパー サイトをご覧ください。今回のリリースは、デベロッパーを対象としています。日常的な使用やユーザーの使用を想定したものではありません。そのため、Pixel 2、3、3a、4 端末への手動でのダウンロードと書き込みで利用できます。既に Developer Preview ビルドを実行している方は、近日中に今回のリリースの OTA(無線)アップデートを受け取ります。いつものように、ぜひ感想をお聞かせください。また、これまで有用なフィードバックを共有してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
Developer Preview 3 の内容
今回のリリースには、実際に試してみることができるたくさんの新機能や変更点に加えて、既存の機能や API、ツールの最新アップデートが含まれています。そのうちのいくつかを紹介しましょう。アプリの終了理由のアップデート - アプリは、クラッシュやシステムによる強制終了、ユーザーのアクションなど、さまざまな理由で終了します。アプリが実行される端末の種類、メモリ構成、ユーザーのシナリオは多種多様なので、アプリが終了した理由とそのときの状況を理解することは重要です。Android 11 では、これを簡単に実現できます。搭載された終了理由 API を使うと、アプリの直近の終了について詳細をリクエストできます。DP3 では、皆さんからの声をもとに API をアップデートしていますので、ご覧ください。まだこの新しい API を確認していない方は、ぜひ試してみたうえでこちらから感想をお寄せください。
GWP-ASan ヒープ解析 - Android 11 では、プラットフォームやアプリに搭載されているセキュリティ的に重要なコンポーネントが、さまざまなツールによって強化されています。DP3 には、GWP-ASan が追加されています。これは、デベロッパーがメモリの安全性に関する問題を検知して修正する際に役立つもう 1 つの方法となります。GWP-ASan は、ヒープメモリのエラーを検知するサンプリング割り当てツールで、オーバーヘッドやパフォーマンスへの影響は最低限にとどめられています。プラットフォームのバイナリやシステムアプリでは、デフォルトで GWP-ASan を実行していますが、今回より、皆さんのアプリでもこれを有効化できるようになります。アプリでネイティブのコードやライブラリを使っている場合は、できる限り早く GWP-ASan を有効化してテストしてみることをお勧めします。詳細については、ドキュメントをご覧ください。
ADB Incremental - 開発時に ADB(Android Debug Bridge)で巨大な APK をインストールすると、非常に時間がかかって生産性に影響が出る可能性があります。特に、Android ゲーム関連のデベロッパーではそれが顕著です。Android 11 の ADB Incremental を利用すると、開発用の PC から大きな APK(2GB 以上)を Android 11 端末にインストールする時間が最大で 10 分の 1 になります。この新しいデベロッパー ツールを使うには、まず新しい APK シグネチャ スキーム v4 形式で APK に署名します。そして、Android 11 Preview SDK に含まれる最新版の ADB コマンドライン ツールで APK をインストールします。この新機能は、 Android ゲーム開発の生産性を上げるために開発しているさまざまな新ツールの 1 つです。なお、DP3 の ADB Incremental は、Pixel 4 / 4XL 端末のみで動作します。これは、端末レベルのファイル システムを変更しなければならないためです。この変更は、Android 11 が搭載されるすべての新端末で行われる予定なので、新しい端末では ADB Incremental がサポートされることになります。詳細については、こちらを参照してください。
ワイヤレス デバッグ - Android 11 では、Wi-Fi 接続で ADB を使うことにより、デバッグ操作が大幅に改善されます。ノートパソコンの USB ポートが限られ、無数の USB ケーブルや接続を管理しなければならない中、Android 11 のワイヤレス デバッグ機能は生産性の向上に貢献します。Android 11 のワイヤレス デバッグは、既存の TCP/IP デバッグ ワークフローとは異なり、ケーブルのセットアップを必要とせず、これまでの接続を記憶します。最新の Wi-Fi 標準のフルスピードを活用することもできます。DP3 では、ペア設定コードによるワークフローを使ってこのデベロッパー機能を始めることができます。今後の Android Studio のリリースには、QR コードのスキャンによるワイヤレス デバッグ操作を組み込む予定ですが、Android 11 DP3 で提供するコマンドライン ツールについて、初期のフィードバックを集めたいと考えています。詳細については、ドキュメントをご覧ください。

新しいワイヤレス デバッグ機能は、開発者向けオプションから試すことができる
データアクセス監査のアップデート - DP3 では、この Android 11 デベロッパー機能向けの API の名前をいくつか変更しました。既にこの API を使っている方は、変更について確認してください。なじみのない方のために説明すると、データアクセス監査はアプリの診断を行う機能で、アプリがユーザーデータにどのようにアクセスするか、どのユーザーフローからアクセスするかについて知ることができます。たとえば、皆さんのコードや使用する SDK で、機密データへの意図しないアクセスを見つける際に役立ちます。皆さんのアプリでデータアクセス監査を試してみてください。詳細はこちらで確認できます。フィードバックはこちらにお願いします。
Developer Preview 3 で行われているすべての変更点の詳細については、DP3 差分レポートをご覧ください。また、既知の問題点の詳細については、リリースノートをご覧ください。
アプリの互換性
Developer Preview 3 は、確定版の機能と API に向けて順調に進んでおり、作業の中心は機能の洗練とパフォーマンスの向上に移っています。まだ着手していない方は、このタイミングでアプリの互換性テストを始めて、必要な作業を判断しましょう。Android ベータ版のユーザーはさらに多くなるので、Android 11 ベータ版までに互換性のあるアプリのアップデートをリリースし、フィードバックを得られるようにすることをお勧めします。Platform Stability に到達すると、システムの動作、非 SDK グレーリスト、API が確定します。その時点で、最終的な互換性テストと、完全に互換性のあるアプリ、SDK、ライブラリのリリースをできる限り早く行う計画を立てて、最終版の Android 11 のリリースに備えてください。詳細については、デベロッパー タイムラインをご覧ください。
互換性テストは、Pixel 2、3、3a、4 端末または Android Emulator を使って開始できます。最新ビルドを書き込み、現在の本番アプリをインストールして、ユーザーフローをテストしてください。また、アプリに影響する可能性がある領域について、動作の変更点を確認してください。現時点では、アプリの targetSdkVersion を変更する必要はありません。ただし、アプリのターゲットを新しい API レベルに設定すると多くの変更が適用されるため、作業の評価を行うことをお勧めします。
テストを支援するため、targetSdk の変更の多くは切り替え可能にしています。そのため、それぞれの機能は、開発者向けオプションや ADB から強制的に有効化または無効化できます。詳細はこちらをご覧ください。合わせて、有効化、無効化が可能な制限されている非 SDK インターフェースのグレーリストもご覧ください。
開発者向けオプションのアプリの互換性切り替え
Android 11 の利用を開始する
Developer Preview 3 には、Android 11 の最新機能を試し、アプリをテストしてフィードバックを提供するために必要なすべてのものが含まれています。端末システム イメージをダウンロードして Pixel 2 / 2 XL、Pixel 3 / 3 XL、Pixel 3a / 3a XL、Pixel 4 / 4 XL のいずれかの端末に書き込むか、Android Studio から Android Emulator をセットアップするだけです。次に、Android Studio 環境をアップデートして最新の Android 11 Preview SDK およびツールを導入します。詳細は、セットアップ ガイドをご覧ください。いつものように、皆さんのフィードバックは重要です。引き続き、お気づきの点はぜひお知らせください。早めにお知らせいただければより多くのフィードバックを反映できます。問題を見つけた場合は、こちらから報告をお願いします。
Android 11 についての完全な情報は、Android 11 デベロッパー サイトでご覧いただけます。
Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team
Reviewed by Ryosuke Matsuuchi - Developer Relations Team