デベロッパーによって作成され Google Play に公開されたアプリを世界中の Android ユーザーがインストールした回数は、昨年 1 年間で 650 億回を超えました。Android 上での素晴らしい体験を生み出し続けるデベロッパーを支援するために、
Google I/O 2016 において、Android プラットフォームに施している多くの新たな取り組みを発表しました。これには、次回の Android N Developer Preview、バーチャル リアリティに向けた Android の拡張、Android Studio に対するアップデートなどが含まれています。
 |
| Android N Developer Preview は多様なデバイスで試用可能 |
Android N: パフォーマンス、生産性、セキュリティ
Android N によって、私たちは Android の性能がかつてないレベルにまで向上することを目指しています。そのため、Android プラットフォームに対して大幅なテコ入れを行い、システムの仕組みの一部について再作成および再設計を施しました。Android N では、パフォーマンス、生産性、セキュリティの 3 つの主要テーマに注力しています。
Developer Preview の第 1 弾では、新しい
JIT コンパイラを導入して、ソフトウェア パフォーマンスの向上、アプリ インストールの迅速化、および消費ストレージの削減を図りました。第 2 弾の N Developer Preview には
Vulkan が含まれていました。これは、ゲーム デベロッパーがモバイル端末で高性能グラフィックを提供するために役立つ、新しい 3D レンダリング API です。この 2 回のプレビューによって、
マルチ ウィンドウのサポート、
ダイレクト リプライなど、有用な生産性の向上が Android にもたらされました。
 |
| Android N でのマルチ ウィンドウ モード |
Android N では、ユーザーの安全性を維持し、セキュリティを向上するために役立つ、複数の新機能も追加されます。Chromebook でのアップデートの適用方法にインスピレーションを得て、
シームレス アップデートを導入してあるため、N をベースに作成された新しい Android 端末では、バックグラウンドでシステム アップデートをインストールできます。つまり、ユーザーが次回端末の電源を入れると、新しい端末ではアップデートされた新しいシステム イメージへの切り替えがシームレスに自動実行されます。
Android N Developer Preview 3 のリリースは、最初のベータ品質候補版であり、プライマリ携帯端末またはタブレットでのテスト用に提供されます。Android ベータ版プログラム（
android.com/beta）にオプトインし、Nexus 6、9、5X、6P、Nexus Player、Pixel C、および Android One（General Mobile 4G）上で Android N を実行できます。
多くの人がこのベータ リリースを試しています。みなさんのアプリを利用する Android N ユーザーも断然増えてくるでしょう。ご自身でもアプリをテストされた上で、ユーザーからのフィードバックにも注意を払うようにしてください。
Android での VR モード
Android は、昨今のマルチスクリーン環境向けに作成されました。事実、Android は、携帯端末、タブレット、腕時計に加え、自動車やリビングでも利用されており、ユーザーはシームレスに端末間を移動することができるようになっています。次の一手を予想したとき、携帯端末は、世界を見るための実に強力な新しい方法として、仮想化された新しいコンテンツによる臨場感のある方法を提供できると考えています。ただし、現時点まで、Android エコシステムをまたがる高品質モバイル端末 VR は実現不可能でした。このため、N では Android スタックのすべてのレベル、具体的には、オペレーティング システムによるセンサーデータの読み取りから、ディスプレイにピクセルを送る方法までに手を加えて、Android の VR モードによって高品質モバイル端末 VR 経験を提供するために特化した作りになっています。デベロッパー向けにデザインされた多数のパフォーマンス強化があり、シングル バッファ レンダリングや、VR アプリ用の CPU コアへの排他アクセスが含まれます。アプリでは、VR 用に動作するスムーズなヘッド トラッキングやステレオ方式の通知を利用できます。最も重要な点は、Android N によって大幅に遅延の少ないグラフィックが実現される点です。事実、Developer Preview 3 を実行している Nexus 6P の motion-to-photon 遅延は 20 ミリ秒未満です。これは、ユーザーが実際に別の場所にいると感じるための臨場感を出すために必要な速度です。Google I/O の
VR at Google（Google の VR）セッションで、VR の最新情報をご確認ください。
Android Instant Apps: インストール不要の実際のアプリ
Google は、ユーザーがもっと簡単にアプリを検索して利用できるようにしたいと考えています。タップ 1 回でアプリを利用できればどうでしょう。インストール不要であればどうでしょう。現在、Google では、アプリに関する概念を変革する取り組みの一環として
Android Instant Apps の導入を進めています。検索、ソーシャル メディア、メッセージング、その他のディープリンクのいずれでアプリを見つけた場合でも、ユーザーは、高速でパワフルなネイティブ Android アプリをそのまま利用でき、アプリをインストールするための停止も再認証も事前に必要としません。なにより、Android Instant Apps は、Google Play サービスを導入した、Jellybean（4.1）以上を実行しているすべての Android 端末と互換性があります。Android Instant Apps の機能は既存の Android アプリのアップグレードであり、新規の別アプリではありません。
サインアップすることで、ドキュメントへの早期アクセスをリクエストできます。
Android Wear 2.0: UI の変更およびスタンドアロン アプリ
Google I/O において、2 年前の Android Wear 導入以来最も大幅なアップデートとなる、Android Wear 2.0 も発表しました。ユーザーやデベロッパーから寄せられた声に基づき、時計面、メッセージング、フィットネスを含む主要なウォッチ エクスペリエンスを改善して、プラットフォームを進化させました。アプリの一貫性、直観性、魅力を高めるために、多くの UI 変更と、デザイン ガイドラインのアップデートも実施しています。 Android Wear 2.0 では、アプリをスタンドアロンにすることができ、Bluetooth、Wi-Fi、または携帯電話接続を介してクラウドへの直接ネットワーク アクセスが可能です。 つまり、アプリは、
Data Layer API に頼る必要なしに、ペア設定された携帯端末が遠くにある場合やオフの場合でも、引き続きフル機能を提供できます。こちらのプレビューで使用可能なすべての新機能については、
こちらをご覧ください。
Android Studio 2.2 プレビュー: 新しいレイアウト デザイナー、ConstraintLayout など
Android Studio は Android N およびすべての新しいプラットフォーム機能を実行するために最速の方法です。Google I/O では Android Studio 2.2 のプレビューも行いました。これは、組み込まれたスマートな新しいツーリング機能によってコードの開発を高速化するために役立つように設計された、IDE デザインに対するもう 1 つの大きなアップデートです。目玉機能の 1 つは、新しい ConstraintLayout を装備した、再作成されたレイアウト デザイナーです。レイアウトを視覚化するために XML を扱う必要をなくすことに加え、これらの新しいツールは、多種多様で魅力的な Android 端末向けのデザインを容易にします。レイアウトが完成すれば、手間のかかる制約の計算は任せることができ、さまざまなスクリーン サイズで UI が自動的にサイズ変更されるようになります。2.2 プレビューでのその他の新機能について概要を以下に示します（このアップデートの詳細については、「
Android 開発ツールの新機能」でご覧いただけます。
- 速度: 新しいレイアウト デザイナーと ConstraintLayout、Espresso Test Recording、さらに高速なビルド
- スマート: APK Analyzer、 Layout Inspector、拡張された Android コード解析、および IntelliJ 2016.1
- プラットフォーム サポート: 機能強化された Jack コンパイラ / Java 8 サポート、CMake および NDK-Build を含む拡張された C++ サポート、Firebase のサポートおよび拡張されたアクセシビリティ
 |
| Android Studio 2.2 プレビューの新しいレイアウト エディタおよび Constraint Layout |
これは Google I/O で発表された Android の最新情報のほんの一片にすぎません。Google I/O での Android 関連セッションはプレイリスト
Android at Google I/O 2016 からご覧いただけます。皆さんのアプリのリリースを楽しみにしています。
