特に記載のない限り、下記の変更は Android、ChromeOS、Linux、macOS、Windows
向けの最新の Chrome ベータ版チャンネル
リリースに適用されます。ここに記載されている機能の詳細については、リンクまたは
ChromeStatus.com の一覧でご確認ください。2023 年 4 月 6 日の時点で Chrome
113 はベータ版です。PC 向けの最新版は Google.com で、Android では Google Play ストアでダウンロードできます。
#CSS
このリリースでは、CSS の 4 つの新機能が追加されます。
Chrome 113 には、overflow-inline
と overflow-block
メディア特性が含まれています。これを使うと、初期包含ブロックをオーバーフローするコンテンツがデバイスでどのように扱われるかを確認できます。
update
メディア特性を使うと、印刷、低速出力ディスプレイ、高速出力ディスプレイ向けのスタイルを作成できます。
print
: 紙のドキュメント
-
slow
: e-ink や十分な電力を利用できないディスプレイなど
-
fast
: 通常のコンピュータ ディスプレイ
#linear()
イージング関数
linear()
イージング関数を使うと、複数の点の間を線形補間できます。これにより、バウンスや弾力効果などの複雑なアニメーションが可能になります。
#image-set() タイプ
image-set() 関数表記は、さまざまな画像オプションを指定する CSS
タイプです。画面密度によって画像を出し分けたり、ブラウザで最適な画像を選んだりすることができます。background-image
などの CSS プロパティで利用できます。
Chrome 113 ではプレフィックスなしの image-set
タイプが追加されるので、-webkit-image-set
を使う必要はなくなります。この実装では、新しい解像度単位(dppx
、dpi
、dpcm
)、画像タイプのサポート(type("image/avif")
など)、url()
なしの URL
の直接記述、グラデーション画像オプションも導入され、現在の仕様に対応します。
#ウェブ API
複数の Set-Cookie
ヘッダーを組み合わせることなく、値を取得する方法が追加されます。HTTP
の Set-Cookie
は歴史的な理由から特殊なヘッダーになっています。1
つのレスポンスに複数回登場する可能性があるにもかかわらず、ほかのヘッダーと違って組み合わせることができないためです。現在の
Headers オブジェクトは、複数の値を持つ Set-Cookie
ヘッダーをサポートしていませんが、この機能によってそれが可能になります。
#WebAuthn: 大容量 blob ストレージ拡張機能(largeBlob)
このリリースでは、WebAuthn largeBlob
拡張機能がサポートされます。この拡張機能により、リライング
パーティが認証情報に関連した難読データを保存できるようになります。
#WebGPU
WebGPU は、ウェブ用の WebGL と WebGL2 グラフィックス API
の後継です。GPU 演算、GPU ハードウェアへの低オーバーヘッド アクセス、1
つのグラフィック
デバイスから複数のキャンバスに描画する機能、パフォーマンスと予測可能性の向上などの最新機能が提供されます。
WebGPU についての完全なドキュメントは、MDN に掲載されています。
#Private State Token API
Private State Token API は、不正防止を目的とする新しい API です(旧称 Trust Token
API)。サードパーティ Cookie
などのクロスサイト永続化識別子を使わずに、サイト間でユーザー
シグナルを伝達できます。サードパーティ Cookie
を使う不正防止手段は、サードパーティ Cookie
が廃止されると動作しなくなります。この API は、サードパーティ Cookie
がない世界で不正行為と戦う手段を提供するために開発されています。
Private State Token API
は、不正対策シグナルの生成や定義は行いません。それを行うのは、対応するファースト
パーティやトークン発行者です。この API
は、プライバシーに配慮するために、そのようなシグナルで送信される情報を制限します。Private
State Token API は、IETF ワーキング グループの Privacy Pass プロトコルに基づいており、ウェブに公開される形式の
Privacy Pass プロトコルと考えることができます。
この API
は、テストや評価が行えるように、長い時間をかけて徐々にロールアウトする予定です。
#進行中のオリジン トライアル
Chrome 113 では、以下の新しいオリジン トライアルにオプトインできます。
#WebRTC の以前のコールバックベース getStats() の逆トライアル
RTCPeerConnection
には、2 つのバージョンの getStats()
があります。1
つはプロミスの解決によってレポートを返すもので、仕様に準拠しています。もう
1 つは、1
つ目の引数のコールバック経由でまったく異なるレポートを返す非標準のものです。このコールバックベースのものが、近日中に削除されます。時間が必要なアプリに対し、Chrome
113 から 121 の間でこの逆トライアルが提供されます。
以前のバージョンの getStats() の逆トライアルに登録する
#WebGPU と WebCodecs の連携
WebGPU では、HTMLVideoElement
から不透明な「外部テクスチャ」オブジェクトを作成する API
が公開されています。このオブジェクトは、動画フレームのサンプルを効率的に取得するために利用でき、ソース
YUV データからコピーすることなく直接取得できる場合もあります。
ただし、WebGPU の最初のバージョンの WebGPU 仕様では、WebCodecs
の VideoFrame
オブジェクトから GPUExternalTextures
を作成する操作は許可されていません。この機能は、すでに WebCodecs
を使っており、動画処理パイプラインに WebGPU
を組み込む必要がある高度な動画加工アプリケーションにとって重要です。
この機能では、VideoFrame
を GPUExternalTexture
のソースとして使うためのサポートが追加されます。
WebGPU と WebCodecs の連携のトライアルに登録する
#サポートの終了と機能の削除
このバージョンの Chrome
では、以下のサポートの終了と機能の削除が行われます。サポートの終了が予定されている機能、現在サポートが終了している機能、以前に削除された機能のリストは、ChromeStatus.com
をご覧ください。
このリリースの Chrome では、2 つの機能のサポートが終了します。
#Secure Payment Confirmation: CollectedClientAdditionalPaymentData
で rp
を rpId
に名称変更
Secure Payment Confirmation(SPC)は、取引の決済時の認証を効率化できるウェブ API
です。この機能は WebAuthn
を使って構築されており、決済フローに認証機能を導入します。SPC
の最初の仕様と実装では、暗号文の CollectedClientAdditionalPaymentData
出力ディクショナリに rp
という名前のパラメータが含まれていました。WebAuthn
に合わせるため、仕様でこの名前が rpId
に変更されたため、Chrome
もそれに合わせて実装を変更します(つまり、rpId
を追加して rp
を削除します)。